走行会の勧め

私は、日本のあちこちへセミナーに行きます。そこでこのところ感じているのは自分のフィールドと立派な道具を所有されている方が増えてきている事です。それらが無い方にとっては、うらやましいようなトレーニング環境に見えます。じゃ、そこのオーナーは、そこで十分なトレーニングが出来ているかと言われると、割とそうでない方が多いのです。何故か、それはコースをセットしたり片付けたりするのが大変だからです。 アジリティーの場合、コースをセットするのは大変な労働です。特に最近は、トンネルホルダーが重くなった上に、3 本以上のトンネルを使うのが普通になって来て、トンネルだけでも大変です。せっかくのフィールドや道具を生かすためには、人が必要です。 そこで走行会です。うちでは、ウィークリーU 人セミナーと称して、毎週木曜にやっています。週に一度でも月に一度でも構わないと思います。場所と時間が決まれば、人は集まります。先生は要りません。昔から我々の業界では10 人集まれば天下が取れると言われています。志を持った人が10 人集まれば、お互い切磋琢磨してレベルは上がって行きます。10人集まるとそれぞれの抜きんでている部分が他の人の目標になります。先生がいればもっと良いでしょうが、必ずしも必要ではありません。 走行会は、練習会と自主練やレッスンの間に入るものです。自主練(レッスン)→走行会→練習会→公式戦となります。スタートのやり直し、手に何か持つ事、コンタクトでの補助や道具の使用などを認めています。 走行会の流れ(うちで行っている方法)1コース設営2全長計測3検分4ディスカッション5再検分6第1 ラウンド実走行7ディスカッション8再検分9第2 ラウンド実走行10ディスカッション(結果確認)11自主練 1コース設営:一番重要な部分です。前もってコースを選択して、コース図に座標を入れておく必要があります。座標の入れ方については、「座標のススメ2」(近々発表)の中で紹介します。コースはfacebook のAgilityCourses というグループにヨーロッパの最新の面白いコースがたくさん発表されています。 コース設営は、参加者が行います。そのためには参加者が座標による設営を覚える必要があります。巻き尺とコロコロが必要です。私はマイコロコロをお勧めしていますが、コロコロの替わりに15mの巻き尺を使う手もあります(通常の巻き尺を15mで切断する:コロコロの様にかさばらない) 2全長計測:コース設営が終わったら、コース全長を測ります。コース全長は、速い犬が強いコントロールを受けないで通るであろうラインを想定してコース順に測ります。 3検分:検分は競技よりも長めに取ります 4ディスカッション:一人ずつ意見を伺います。内容は以下です。1:コースの全般的な印象検分したコースの全般的な印象です。「難しい」と表現される方が多いのでうちでは「難しい」という印象は無しです。走り終わった後にもう一度お聞きします。 2:ドボン(失格)しそうなところドボンしそうなところ=失格しそうなところです。例えばスラロームのエントリーのように、トラブルが起こりそうでも、拒絶やミスで済むところはドボンしそうなところには入りません。これも重複無しで一人一つは上げていただきます。トラップだらけに見えるコースでも、いざ実際に指摘していただくと、それほど出てこないコースもあります。また、指摘できなかったトラップが後から実走行で出てくることもあります。 3:目標タイム目標タイム:うまく走れた時のタイムです。旋回速度6m/s と5m/sで走った時のタイムを参考として用意しています。自分の犬の旋回速度やタイムへの意識を持ってもらうことは大切です。 4:コース全体を、3 から5に分けて、その部分のハンドリングを一人ずつ紹介ハンドリングの紹介:ハンドラーのポジショニング、使うコントロールなど、一人づつ紹介していただいてます。 5再検分:4ディスカッションで得た情報をもとに、思いつかなかったような処理やトラップを踏まえて再検分 6第1ラウンド実走行:実走行はタイムを取ることにこだわってください。バー落下やコンタクトのミス、それぞれの部分のトラブルはその場ではやり直しはしないで、通常の競技と同じように失格するまでは走ります。とても難しい処理があって、なかなかタイムが取れない場合、その部分だけ、別に練習することは認めています。通常、タイムが取れれば、そのラウンドは終了、犬や人が疲れた場合、同じ個所でトラブルが続く場合、次の人と交代です。走行会で重要なのはデータです。タイムはもちろん、バー落下の箇所、拒絶の箇所、失格の形、などはデータとして残します。この部分が自主練やレッスンと決定的に違うところです。動画もデータです。うちでは全走行を撮影して、原則タイムを取れた分はユーチューブにアップして、参加者が何時でも見ることが出来るようにしています。7ディスカッション:結果発表、ミスや拒絶、タイム申告タイムとの差、失格の形など再確認します。同時に第2ラウンドを行うにあたっての練習を行うかの検討もします。 以後8910は第1ラウンドと同じです。8再検分9第2 ラウンド実走行10ディスカッション(結果確認) 11自主練うちでは、午前ジャンピング午後アジリティーを行っています。10名程度の参加者なら、午前 第2ラウンドまで行った後で、自主練の時間が取れると思います。実走行で見つかった課題をそれぞれの練習にあてています。私がユーチューブにあげた走行会(セミナー)の動画の数は、1000を超えています。同じコースを走った、別々のグループの動画もあり、地域でのハンドリングの違いが見られたりして面白いです。 時間と場所を決める事、座標によるセッティング、記録を取ってデータを残す事、ビデオ、すぐには効果が出なくても、必ずレベルはアップします。ご質問があれば、出来るだけお答えします。 ツイート