昨日の雪崩救助犬の訓練の様子。犬はマドナちゃん。マドナちゃんは探すのがとても得意。
救助犬の基礎は、ヘルパーを好きになる事。ヘルパーとは、救助犬の訓練で遭難者役をやる人。ハンドラーと同じぐらい好きにさせることがポイントになります。マドナちゃんは、ヘルパーが大好き。この点は、セラピードッグと共通してますね。
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GPSと救助犬 2005
2005年10月30日 千歳市郊外
主催 北海道ボランティアドッグの会
協力 北海道エコ・コミュニケーション専門学校 ドッグトレーナー科
懸念された雨もほとんど降らず、南へ渡る白鳥の群れの下、2005年の原野の救助犬試験を行いました。
参加頭数19頭うち14頭が新規受験の犬でした。
捜索範囲は以下にあるように、狭い区域で24ha、広い所では37haもありました。
制限時間は3時間です。
白鳥の渡り
朝のミーティング
今年の北海道は暖かく、キノコ取りの人もまだかなり出ているようでした。シカの足跡は多数ありましたが、鹿に混じって熊の足跡もありました。熊の足跡は古く、キノコ取りが多数入っているので、いる心配はありませんでした。
ミーティング説明
試験のテーマは、捜索能力が第1のテーマですが、自分自身と犬の安全管理、サポーターの安全管理です。捜索者自身が行方不明になったり、犬が事故にあったりしないようにすること一番です。ハンドラーには、GPSの操作をマスターしたサポーターを一人ずつつけました。ハンドラーはこのサポーターを伴い、GPSに予めインプットしてある自分の受け持ち区域をGPSが示す自分自身の軌跡をもとに捜索経路を決め、系統立てた捜索を行なうことになります。
朝のミーティング、参加者、役員、サポーター、ヘルパー
今回の参加者は全員、それなりの犬であれば反応できた位置までヘルパーに接近しています。捜索の詳細については、GPSが記録したデータを元に、ムービーを添付しましたので参考にしてください。例によって、ハンドラー自身のコメント、ヘルパーとサポーターのコメントを添付しました。(ただし、11月9日現在、コメントはまだ集まっていません。集まり次第、追加していきます)
関東から参加の高野さん 終了時の挨拶
審査員長 山田先生の終了時の挨拶
個々の作業の詳細についてはハンドラー名をクリックしてください。
チーム名 | 作業開始時間 | 終了時間 | 作業時間 | 捜索距離(m) | 面積(ha) | ||||
エリア1 | 1 | 村木マーブル | 9:22 | 12:16 | 2:53:59 | 4565 | 24.3 | 未発見 | 不合格 |
2 | 高野ベンケイ | 12:56 | 14:58 | 2:01:45 | 3709 | 24.3 | 未発見 | 不合格 | |
エリア2 | 1 | 関ジェシー | 9:26 | 12:05 | 2:39:04 | 4429 | 27.1 | 未発見 | 不合格 |
エリア3 | 1 | 上田ウリエル | 9:15 | 12:05 | 2:49:42 | 6317 | 28.8 | 未発見 | 不合格 |
エリア4 | 1 | 葛西ソラ | 9:32 | 11:33 | 2:01:01 | 5617 | 26.7 | 発見 | 合格 |
エリア5 | 1 | 小林リック | 9:21 | 10:16 | 0:54:47 | 2076 | 25.7 | 発見 | 合格 |
2 | 山美3号 | 10:43 | 13:54 | 3:11:28 | 6646 | 25.7 | 未発見 | 不合格 | |
エリア6 | 1 | 大沢ジャック | 9:05 | 9:57 | 0:51:23 | 2529 | 27.7 | 発見 | 合格 |
2 | 上林オハギ | 10:15 | 13:04 | 2:48:54 | 4956 | 27.7 | 発見 | 合格 | |
エリア7 | 1 | 高野トキ・カズ | 9:27 | 11:13 | 1:46:36 | 2757 | 27.1 | 発見 | 合格 |
2 | 大沢ホリー | 11:57 | 14:45 | 2:48:34 | 5331 | 27.1 | 未発見 | 不合格 | |
エリア8 | 1 | 中谷ヴレス | 9:47 | 11:13 | 1:26:01 | 3741 | 27.2 | 発見 | 合格 |
2 | 小林オグリ | 12:03 | 14:32 | 2:28:58 | 6787 | 27.2 | 未発見 | 不合格 | |
エリア9 | 1 | 大庭モンジュ | 9:17 | 12:48 | 3:30:41 | 7288 | 37.2 | 未発見 | 不合格 |
2 | 安田ボウ | 12:48 | 15:57 | 3:08:46 | 6291 | 37.2 | 未発見 | 不合格 | |
エリア10 | 1 | 沖レイラ | 9:11 | 10:57 | 1:45:39 | 4842 | 33.1 | 発見 | 合格 |
2 | 田野岡ジュディ | 11:17 | 12:01 | 0:43:30 | 1799 | 33.1 | 発見 | 合格 | |
エリア11 | 1 | 田中ミミ | 9:27 | 12:05 | 2:57:40 | 7570 | 33.9 | 未発見 | 不合格 |
GPSと救助犬 2003
北海道ボランティアドッグの会の、2003年秋の救助犬認定試験を11月3日、北海道千歳市郊外の原野で行いました。今年も、「災害」に対する試験は中止され、北海道での救助犬にとってより重要な、原野での捜索だけを行うこととしました。今年は昨年に引き続き、さらに実践的な状況を設定しました。
1 捜索エリア:現場は航空自衛隊、第2空団の敷地と道央道との間に広がる原野です。昨年と違って今年のエリアはほとんどが林で、見通しの悪い場所でした。エリアを10の区域にわけ、GPSで活用できるようにルートデータを作って、10個のGPSにあらかじめ転送しておきました。捜索エリアの面積の合計は、おおよそ220ヘクタールです。
捜索本部の位置は変更した
現場の地形図:山旅クラブのオンライン地図、国土地理院発行(1/25000)の地形図
2 セミナー:試験の実施に当たって、GPSの講習会を何回か行いましたた。実際の捜索に当たっても、テストに当たってもGPSの使用は必須です。GPSには、習熟してもらう必要がありました。一通り、各機能について説明し、最低限の活用として、現在地の確認、次にマップ画面の理解とルートデータによるエリアの確認を重点的に講習しました。
3 捜索本部:昨年の失敗から、今回は無線の使用は中止しました。連絡は携帯電話を使いました。今回は、北海道エコ・コミュニケーション専門学校の協力を得て、本部テントを建てることが出来ました。心配した雨も無く、風もそれほどではなく、概ね快適に作戦を行うことが出来ました。GPSデータの解析は、PCを2台使用して行いましたが、肝心のデスクとトップが、オンライン地図の使用制限で活用できませんでした。捜索本部では、各参加者からの連絡と、ヘルパーやサポーターからの連絡、それに基づく位置の確認と、人の配置、さらにGPSからデータを吸い出してPCに保存するなどの業務を行いました。今回、本部業務を行って改めて感じたのは、マネジメントの重要性です。今回は、10名のヘルパーと16名のサポーターを使いました。その配置や、各チームの配備の確認に若干追われました。
4 装備:今回は3時間に及ぶ作業となり、また、雨も予想され、必然的にそれに対応できるだけの装備は、参加者が用意したようです。
5 協力:今回は、会のメンバーのほかに、北海道エコ・コミュニケーション専門学校の協力を得、生徒26名と先生が一人、サポーターやヘルパー、本部業務などをお手伝いいただきました。今回はヘルパーの交代は行いませんでした。
捜索エリア | ヘルパー | エリアの面積(ヘクタール) | エリアの外周(メートル) |
1 | 守屋 貴志 | 29.5 | 3,160 |
2 | 藤倉 佑也 | 22.3 | 2,704 |
3 | 林下 幹 | 18.0 | 1,721 |
4 | 平川 晃司 | 17.7 | 1,798 |
5 | 西川 誠二 | 18.3 | 2,388 |
6 | 武岡 昌吾 | 20.2 | 1,829 |
7 | 菊地 祥弘 | 18.4 | 1,691 |
8 | 山崎 祐輝 | 21.7 | 2,264 |
9 | 中川原 祐樹 | 34.5 | 2,849 |
10 | 笹木 茜 | 27.0 | 2,147 |
全エリアの面積 | 227.6 |
6 審査:作業の評価は、GPSの軌跡データを利用した捜索経路と、ヘルパーやサポーターからの情報をもとに各作業を評価しました。
結果詳細
レポート
サポーター | サポーターの報告 | 捜索エリア | ヘルパー | ヘルパーコメント | |||
1 | 猪狩ハリー | 未発見 | 谷 英里奈 | 1 | 守屋 貴志 | ||
2 | 高橋ジョー | 発見 | 山口 麻奈美 | 2,30m手前で反応 | 2 | 藤倉 佑也 | 良く吠える |
3 | 中村シャロン | 発見 | 池内 朱美 | なかなか吠えず。ブルーシートが見えた | 3 | 林下 幹 | 吠えずになめた |
4 | 佐々木ナビタ | 発見 | 北河 亜沙美 | ハンドラーが見つけ犬を連れて行く | 4 | 平川 晃司 | 吠える |
5 | 浜川フブキ | 発見 | 高木 桃恵 | エリアを迷う。人が先に見つける。1回目近くを通るも発見できず。人が発見。近く時指示吠える。 | 5 | 西川 誠二 | 人が見つけて犬を呼ぶ |
6 | 浜川リン | 発見 | 高野 絵里奈 | かなり遠くで反応。犬が見えなくなる。良く吠える。 | 4 | 平川 晃司 | 良く吠える |
7 | 小林ポン | 発見 | 高野 絵里奈 | 10mで反応 | 6 | 武岡 昌吾 | 良く吠える |
8 | 中谷ヴレス・バッキー | 発見 | 山村 菜美香 | すぐ近くを1回通る。すぐに吠えず。10mで反応 | 7 | 菊地 祥弘 | 吠える |
9 | 沖レイラ | 発見 | 太田 ゆかり | 10mで反応すぐ吠える | 8 | 山崎 祐輝 | 犬から吠える |
10 | 杉山クッキー・リサ | 発見 | 堤 真由美 | 吠えず | 9 | 中川原 祐樹 | 吠えず |
11 | 今野ジュディ | 未発見 | 高橋 有里 | 10 | 笹木 茜 | ||
12 | 葛西ソラ | 発見 | 岩田 このみ | 10mで反応。吠える。 | 7 | 菊地 祥弘 | 吠える |
13 | 佐藤シルフ・ウルフ1 | 発見 | 河口 里美 | 近くで反応。吠える。 | 6 | 武岡 昌吾 | |
14 | 佐藤シルフ・ウルフ2 | 未発見 | 高橋 有里 | 反応するも発見できず | 1 | 守屋 貴志 | |
15 | 中村レオ | 発見 | 太田 ゆかり | 10mで反応。吠えず。 | 2 | 藤倉 佑也 | 吠えず。 |
16 | 中谷ジェシー | 発見 | 西野 由佳里 | 人が見つける。 | 5 | 西川 誠二 | |
17 | 平野ムサシ1 | 発見 | 山村 菜美香 | 20~30で反応。なかなか吠えず。 | 6 | 武岡 昌吾 | 吠えず。人が来てから吠える。 |
18 | 平野ムサシ2 | 発見 | 田中 綾 | 犬が見つける。吠えず。 | 5 | 西川 誠二 | 吠えず。 |
19 | 林崎シェパ1 | 発見 | 河口 里美 | 3 | 林下 幹 | 犬が見つける | |
20 | 林崎シェパ2 | 発見 | 堤 真由美 | 遠くから反応。良く吠える。 | 10 | 笹木 茜 | 犬が見つける |
21 | 嘉瀬BJ | 発見 | 片澤 ひろみ | しばらく吠えず。 | 8 | 山崎 祐輝 | 犬、自ら吠える。 |
22 | 宮本マック | 未発見 | 木村 希望 | 9 | 中川原 祐樹 |
所要時間 | 捜索距離 | 開始時間 | 終了時間 | 合否 | 捜索エリアの確認 | 捜索ルートの選択 | 犬の反応 | 告知 | |||
1 | 猪狩ハリー | 2:29:59 | 4950 | 9:23:29 | 11:53:28 | 未発見 | 否 | 良好 | やや過密 | ? | ? |
2 | 高橋ジョー | 2:02:03 | 4376 | 9:13:12 | 11:15:15 | 発見 | 合格 | 良好 | 概ね良好 | 良好 | 良好 |
3 | 中村シャロン | 2:34:53 | 3259 | 9:13:05 | 11:47:58 | 発見 | 合格 | やや手間取る | 概ね良好 | 概ね良好 | 今ひとつ |
4 | 佐々木ナビタ | 2:42:47 | 6069 | 9:12:31 | 11:55:18 | 発見 | 合格 | 良好 | 的確 | 良くない | ? |
5 | 浜川フブキ | 2:15:21 | 7155 | 8:56:42 | 11:12:03 | 発見 | 合格 | 概ね良好 | 概ね良好 | 良くない | ? |
6 | 浜川リン | 0:52:49 | 3413 | 12:15:51 | 13:08:40 | 発見 | 合格 | 的確 | 的確 | 良好 | 良好 |
7 | 小林ポン | 2:08:33 | 6003 | 9:04:41 | 11:13:14 | 発見 | 合格 | 良好 | 的確 | 良好 | 良好 |
8 | 中谷ヴレス・バッキー | 1:47:42 | 5111 | 8:57:46 | 10:45:28 | 発見 | 合格 | 概ね良好 | 概ね良好 | 概ね良好 | 今ひとつ |
9 | 沖レイラ | 1:59:15 | 5156 | 8:46:31 | 10:45:46 | 発見 | 合格 | 良好 | 的確 | 良好 | 良好 |
10 | 杉山クッキー・リサ | 2:15:48 | 7217 | 8:41:32 | 10:57:20 | 発見 | 合格 | 概ね良好 | やや荒い | 良好 | 無し |
11 | 今野ジュディ | 2:43:30 | 8466 | 8:30:13 | 11:13:43 | 未発見 | 否 | 良好 | 概ね良好 | 概ね良好 | 発見できず |
12 | 葛西ソラ | 1:32:17 | 4209 | 11:03:49 | 12:36:06 | 発見 | 合格 | 概ね良好 | 概ね良好 | 概ね良好 | 良好 |
13 | 佐藤シルフ・ウルフ1 | 0:12:02 | 550 | 11:31:02 | 11:43:04 | 発見 | 合格 | 良好 | 良好 | 概ね良好 | 良好 |
14 | 佐藤シルフ・ウルフ2 | 2:37:58 | 7842 | 12:14:18 | 14:52:16 | 未発見 | 否 | 概ね良好 | 概ね良好 | 今ひとつ | 発見できず |
15 | 中村レオ | 1:15:13 | 3744 | 11:40:56 | 12:56:09 | 発見 | 合格 | 良好 | 良好 | 良好 | 無し |
16 | 中谷ジェシー | 2:14:29 | 7102 | 11:31:10 | 13:45:39 | 発見 | 合格 | 今ひとつ | あまり良くない | 無し | 無し |
17 | 平野ムサシ1 | 0:45:41 | 1593 | 12:13:39 | 12:59:20 | 発見 | 合格 | 概ね良好 | 概ね良好 | 良好 | 無し |
18 | 平野ムサシ2 | 1:00:59 | 3355 | 14:04:37 | 15:05:36 | 発見 | 合格 | 概ね良好 | 概ね良好 | 良好 | 無し |
19 | 林崎シェパ1 | 0:41:34 | 1377 | 12:09:44 | 12:51:18 | 発見 | 合格 | 概ね良好 | 今ひとつ | 良好 | 良好 |
20 | 林崎シェパ2 | 1:12:28 | 2664 | 13:01:09 | 14:13:37 | 発見 | 合格 | 良くない | 今ひとつ | 良好 | 良好 |
21 | 嘉瀬BJ | 2:03:27 | 4595 | 10:59:24 | 13:02:51 | 発見 | 合格 | 概ね良好 | 概ね良好 | 良好 | 今ひとつ |
22 | 宮本マック | 2:44:20 | 8059 | 11:09:19 | 13:53:39 | 未発見 | 否 | 概ね良好 | 概ね良好 | 無し | 発見できず |
8 総括:午前中に投入した10チームのうち、発見出来たのは8チームもありました。予想していたよりはるかに良い成績でした。正直言って、やりだす前は、エリアの広さや現場の状況から、探し出せないかも知れないという気もしていました。8時半に最初のチームを投入してから、おおよそ2時間後の10時25分、発見の最初の一報が中谷チームから入りました。それを機に続々と発見のほうが飛び込んできました。この2時間は長かった。
現場は確かに、現実よりは条件が良いと思います。しかし、今回の試験が現実に近づく大きな一歩となったと思います。昨年、岡山で幼い姉妹二人の行方不明事件が起こりました。遺体が発見されたのは、姉妹の実家から1.5kmの地点です。われわれの目標は、そのときの状況に対応できることです。昨年に引き続き今年の試験も、平地で行いました。残された最大の課題は、高低差のある地形にどう対応していくかだと思います。今回の試験で私は、そのヒントを得ることが出来ました。次回の試験に活用したいと思います。
GPSのデータログの吸出しには、DAN杉本氏作のカシミール3Dを使用しました。また、2万5千分の一の地形図は、山旅倶楽部 のオンライン地図を利用しました。カシミール3Dは非常に秀逸なソフトです。
GPSと救助犬 2002
北海道ボランティアドッグの会の、2002年秋の救助犬認定試験が11月3日、北海道ウトナイ湖畔の原野で行われた。今年は、「災害」に対する試験は中止され、北海道での救助犬にとってより重要な、原野での捜索だけを行うこととした。これに伴ない、これまでに無い思い切った状況を想定した。
1 捜索エリア:現場はウトナイ湖と国道36号線、日高自動車道、JR線路に囲まれた幅約300メートル、長さ約2キロのほぼ四角形のエリア。このエリアを三つに分けた。第1エリア0.185平方キロ、第2エリア0.233平方キロ、第3エリア0.25平方キロの広さがある。第3エリア0.25平方キロは、およそ500メートル四方の広さとなる。
現場の地形図(1/25000):顔のアイコンはヘルパーの位置をあらわしている。
helper1:北緯42度41分29秒 東経141度41分45秒2
helper2:北緯42度41分15秒7 東経141度42分13秒9
helper3:北緯42度40分51秒9 東経141度42分47秒6
helper4:北緯42度41分06秒5 東経141度42分27秒4
helper5:北緯42度41分02秒3 東経141度42分36秒6
2 遭難状況:設定は上記捜索エリア内にて5名の人間が行方不明になったと想定した。捜索には上記のようにエリアを決めて、3チームを同時に投入した。試験なので制限時間は1時間。エリア全体に5名のヘルパーを隠した。どのエリアに何名いるかは、ハンドラーに通知しない。ただし、全体で5名のヘルパーが発見された時点で作業は中止してよいとした。受験者は15チーム。これを3チームずつ5班に分けた。残念ながら5名を発見できた班は無かった。
3 捜索本部:当日は非常に風が強く、残念ながらテントを建てる事が出来なかった。しかも用意したハンディ無線があまり届かず、仕方なく捜索本部はエリア2の端にワゴン車をおいて捜索本部とした。捜索本部にはノート型のPCを用意し、サポーターから寄せられた情報を元にハンドラーの位置を確定した。今後、捜索本部にはモービル形の無線機が必須となるだろう。また、今回はノート型パソコンを使ったが、これも操作性などの面からデスクトップ型のコンピューターとADSL回線でインターネットにつなぎたい。インターネットからはリアルタイムに地図情報を得る事が出来る。ハンディ型の無線機は思ったほど届かず、連絡には携帯電話がしばしば役に立った。
4 装備:ハンドラーにはディパック。水、非常食、雨具は最低限用意していただいた。実際の活動に、これらは必須だろう。さらに、今回はサポーターに持ってもらったが、GPSと無線機、携帯電話なども必須だろう。ヘルパー発見時の連絡は、サポーターに任せずハンドラー自らが行うことを要求した。実際の活動にあたっては、位置の確認と連絡こそが重要である。
5 サポート:今回は、北海道ハイテクの生徒13名が、ボランティアで手伝ってくれた。5名を交代でヘルパー、3名をサポーターとしてハンドラーに一人ずつついてもらった。サポーターには15分おきに現在位置を連絡させた。
6 審査:作業は犬の安全管理とハンドラーの安全管理を主題とした。いくら捜索能力が高くても、犬の行方がわからなくては、ハンドラーは遭難者の捜索どころではなくなる。ハンドラーの安全管理にとって最大の課題は、自身の現在位置の確認である。それは捜索エリアの掌握になって現れる。現場の状況の把握、GPSの活用などがハンドラーに求められる。
チーム名がそのチームの捜索状況にリンクされています
エリア | チーム名 | サポーター | 発見 | |
第1班 | 1 | 松本オコジョ | 葛西 | 未発見 |
9:20~10:20 | 2 | 平野ムサシ | 伊藤 | 第2,第4 |
3 | 今野ブッチャ | 堀口 | 第4 | |
第2班 | 1 | 石沢エーリン | 荒怜 | 第1 |
10:30:~11:30 | 2 | 佐藤シルフ | 菅原 | 第2 |
3 | 松本ボナンザ | 佐孝 | 第3 | |
第3班 | 1 | 浜川ふぶき | 沢井 | 未発見 |
11:30~12:30 | 2 | 広内リン | 堀口 | 未発見 |
3 | 石沢ナビタ | 葛西 | 第4 | |
第4班 | 1 | 福士アダロ | 伊藤 | 未発見 |
13:15~14:15 | 2 | 中谷ヴレス | 石沢 | 未発見 |
3 | 中村レオ | 小池 | 第3 | |
第5班 | 1 | 西川カール | 澤野 | 第1 |
14:30~15:30 | 2 | 今野ジュディ | 葛西 | 未発見 |
3 | 中村シャロン | 堀口 | 第3 |
発見されたヘルパーの回数 | 第1ヘルパー | 第2ヘルパー | 第3ヘルパー | 第4ヘルパー | 第5ヘルパー | 合計 |
2 | 2 | 3 | 3 | 0 | 10 |
班ごとの発見者 | 第1班 | 第2班 | 第3班 | 第4班 | 第5班 | 合計 |
第1エリア | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 2 |
第2エリア | 2 | 1 | 0 | 0 | 0 | 3 |
第3エリア | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 5 |
合計 | 2 | 3 | 1 | 1 | 2 | 10 |
第1班の第2エリアと第3エリアは、第2エリア内の同じヘルパーを発見した。
8 総括:作業時間は1時間。この1時間が10分程度に感じられたというハンドラーが多かった。より長い時間、より広い区域での作業が望ましい。そしてその作業でのノウハウは、実際の作業でのノウハウに直結するだろう。
従来、救助犬試験は犬の捜索能力の評価に主眼を置いていた。今回の我々が行った試験は、犬の能力の判定には主眼を置いてない。救助犬の能力の判定だけなら、これほど広いエリアや長い時間は必要ないだろう。それにもかかわらず、救助犬としての能力の判定は、ほぼ正確に出来たと思う。我々は実際の活動において、何が必要なのかを明らかにしたかった。その目的はほぼ達成されたと思う。
使用したGPSは、GARMINのetrex、summitが2台とvistaが1台。今回は位置の確認だけなのでsummitやvistaまでは必要なかったが、今後ナビゲーションなどに利用する上で、これらの機種を使用することにした。メモリーの容量の関係からか、vistaは大丈夫だったが、summitの方は、はじめに作業した2チームほどのデータログが消えてしまった。
GPSのデータログの吸出しには、DAN杉本氏作のカシミール3Dを使用した。また、2万5千分の一の地形図は、山旅倶楽部 のインターネット常時接続の地図を利用した。カシミール3Dは非常に秀逸なソフトである。