
日本代表



2002年のラージ日本代表。とても暑かったのを覚えてますが、まさかの8月1日でしょうか?

カズオは大きなシェパード。この体で、アジリティー、訓練ジーガー、救助犬、警察犬として活躍しました。
これは、救助犬トレーニングの実際を記録したものです。
雪崩と原野に対応しています。
2002年以前のものですが、正確な日時は不明です。















99年冬季救助犬認定審査会 結果報告
今年は3月21日、比較的遅い次期にも関わらず、豊富な雪の元札幌のばんけいスキー場で開催しました。STVの取材を受け、撮影を兼ねての審査会で出場者には色々ご迷惑をおかけしました。当日は終日冷え込み、前日までの暖気で融けていた雪が凍って非常に固くなり、ヘルパーを埋めたり出したりが大変困難でした。この固い雪の影響で、臭いが漏れ易くなり「反応」の面からはイージーに、しかし臭気源の「特定」の面では、犬が(特に非力な犬が)掘りにくくハードな条件となりました。
認定試験の会場に関して、より現場に近い状況が本当は欲しいところです。ブルドーザーで雪を押して山を作ると、押しやられた雪が作り出す斜面は非常に現場に近い状況かと思われます。排雪場の斜面は、認定試験の会場にふさわしいものですが、現実的な利用は難しいようです。試験翌日、昨年度会場だったアリスファームを訪れましたが圧倒的な積雪があり、ブルドーザーを入れる事さえ出来れば、理想的な会場を作り出すことが出来そうでした。ブルドーザーとなると経済的な問題もありますが、次回は是非実現させたいものです。
もう一つの課題は、次の審査の為に会場を整備することです。1頭の犬の審査が終了した時点でその犬が捜索作業のために荒らした現場を、次の犬の審査に備えて復元することはかなりの労力が必要です。今回、参加者が交互に行いましたが、出来ればその為だけの要員を確保したいところです。
冬季認定試験は「雪崩」を想定しており、実際に運用を考えた場合、救助犬として活動を要求されることは先ず無いと思われます。しかし冬季救助犬としてのトレーニングは、救助犬自体の能力向上には非常に効果的です。また冬の北海道独自の有効なトレーニングであり、トレーニングには寒さや多くの労働を要求されるなど困難な面もありますが、続けて行きたいと思います。
今回審査は昨年に続いて名古屋の山田氏、ヘルパーは北海道ハイテクノロジー専門学校の生徒の皆さん、会場での暖は牧さんのお世話になりました。寒い中一日中お手伝いいただき、誠にありがとうございました。参加者の皆さんもご苦労様でした。なお、審査終了後札幌市内にて懇親会を兼ねて反省会を行い中から体を暖めました。







水曜日 夕方、我々は冷たい雨の降るコペンハーゲンの空港におり立った。手配してあるはずの車が無く、すったもんだのあげくようやくの思いでホテルに着いたのは、それから2時間以上も後の事だった。日本より日の暮れるのが遅く、それでも僅かに明るさの残る黄昏の中、犬を排便に出すことが出来た。風が強く、断続的に雨が降る。
木曜日 デンマーク1日目の朝、非常に強い風が、低く広く拡がった空間を吹き荒れる。その中を散歩がてら競技会場に行ってみる。会場のブロンディスタジアムは、ホテルの向かい側、といってもサッカーコートを何面も有するほど広大で、その一施設に過ぎないホールまでは歩いて10分程かかる。ホールの入り口に貼ってあるアジリティー競技の赤いポスターが印象的だ。終了時に一枚失敬するつもりでいたが、あわただしさの中で忘れてしまった。散歩を終えて帰る。ホテルの横のサッカーコートの脇に主催者側の配慮で一組のアジリティーのセットが置かれている。風が強くハードルはすぐ倒れてしまう。タッチ障害の基礎トレーニングとスラロームの練習だけをしておく。
朝食後、人影に気がついて行ってみるとアメリカチームがトレーニングをしていた。日本にはお馴染みのシモンズモークの姿を見かけて声をかける。トレーニングは良く統一されていて、風で倒れかかるハードルを交代で押さえながら、コーチの指示のもとてきぱきと効率よく行われていた。トレーニングはスピードよりもコントロールを重視したもので、トンネルの入り口をAランプのすぐ横に並べて、どちらに行かすかをハンドリングによってコントロールしたり、コマンドにより反対側からシーソーやスラロームに入れたり、しつこいほどのタッチ障害の練習など、総じて丁重で念入りなトレーニングであった。エサの多用も印象的だった。アメリカチームの後、日本チームがトレーニングを行う。長旅の疲れを考慮し、はやる心を抑えて軽く流す程度の練習にとどめる。
午後、JKCのはからいで市内観光。夕方、会場でニールセン氏と落ち合う。日本から到着したばかりの木村、新田のアジリティー委員とマスターフーズの島津さんも同行する。会場のフィールドは30m×60m程の広さで、その回りを観客席が取り囲む。昨年の会場は下に土が敷かれていたが、今年は絨毯が敷かれることになっている。その絨毯が脇に用意されていて、滑ることから絨毯はとかく問題にされがちなので興味を持って調べた。裏にスポンジのようなクッションが薄く貼ってあり、犬はともかく人は全く滑らなかった。明日はその絨毯に慣らすため、競技会場で国別のトレーニングが予定されている。
金曜日 そのトレーニングを私は最初から最後まで見ていた。使用できる障害はスラローム一組とハードル6~7個だけで、すでに会場に用意されている。それぞれの国で、それを好きなように配置して練習していた。絨毯に慣れさせるという名目で設けられた特別トレーニングであり、日本チームもそこにウェイトをおいたが、他のほとんどの国は全くそれにとらわれず、いつも通りのハンドリング主体の練習をしていた。また、コーチの統制が非常に良くとれていてハンドリングスタイルが統一されており、30分という枠の中でコーチの指示のもとスピーディーで効率的なトレーニングをしていたのも印象的であった。まさに、アジリティーにとって何が重要なのかを充分知り抜いているという感じがした。この国別トレーニングでは、クロアチアやイタリアのスピードが目を引いた。しかし、実際の競技では彼らの成績はふるわず、コントロール主体の練習をしていたスイスやデンマークなどが高成績をあげることになる。
土曜日 競技初日。オープニングセレモニーの喧噪がまださめやらぬ会場で、競技は始まった。競技は個人のアジリティーから始まり団体ジャンピング、明日の団体アジリティー、個人ジャンピングと続く。各競技ともスタンダードの後、ミニクラスが行われる。個人アジリティーはデンマークの審査員が担当し、比較的オーソドックスなレイアウトのコースだった。極端に難しい個所はなく、失格の出にくいコースのようであったが、日本のスタンダード参加者5名の内、3名までが失格となる。しかも全て同じ個所での失敗で、この失敗が後々尾を引くことになる。このクラスの圧巻は何といっても、昨年のジャッジのマルコ・モーエンだろう。どんなハンドリングをするか世界中が注目する中、抜群のスピードと極めて安定したハンドリングでベストタイムをマークした。まさに見事であった。
団体ジャンピングは、日本は16番目のスタートで午後になった。団体は1チームが4名で構成され、上位3名の成績が考慮される。昨年の成績を分析すると、タイムよりも減点を減らすこと、特に失格を無くすことがポイントになるようだ。日本チームの結果は、柳生ブルがタイム狙いで途中失格も、後の3名が完走してチームとして一桁台のペナルティーを確保し、初日は22チーム中16位となる。ジャッジは個人アジリティーと同じくデンマークのジャッジであった。若干変則的な個所があるものの、各障害に非常に微妙な角度が持たせてあって、遠隔でのハンドリングがやりにくい設計となっていた。
日曜日 今日で終わりである。今までの全てのトレーニング、準備、期待、応援が今日の結果如何にかかってくる。スペインのジャッジが担当する団体アジリティーから競技は始まった。スピードと危険性が隣接したコースで、一瞬のコンタクトの断絶がコースミスを呼びそうだ。タイムを狙う危険性は極めて大きく、全員がノーミスを目標とする。結果、無難に終了して、初日の16位から14位に順位を上げる。個人ジャンピングは、大変スリリングなコースが設計されていた。一瞬のハンドリングミスはコースミスに直結し即失格である。最後まで気を抜くことは許されない。結果、日本勢は5走して2名失格。これですべて終了した。
月曜日 10時から研修会が行われた。デンマークナショナルチームのアネッテという女性がコーチである。コースを走らせてハンドリングの問題点を指摘し、的確に矯正方法をアドバイスしていた。だいたいは分かるのだが、微妙な部分になると言葉の違いから理解するのが難し事もあった。しかし、各々のハンドラーにとってそれなりの収穫はあったはずである。ランチを一緒してもらい更に詳しく話を聞いた。2時間の予定を大幅に過ぎた3時に別れた。
成績 今回の日本チームの成績はどう評価すべきであろうか。普通、実力以上の成績なら良くやったと言われるだろうし、実力を出せなかったらもう一つと言われるだろう。そういう言い方をするなら、今年はもう一つだったと私は言いたい。そう言い切れるほど日本チームの実力はついてきていると私は確信している。
エリック・ニールセン氏 競技の準備や片づけ、数々の手配、審査員との打ち合わせ、VIPの接待、主催の中心的存在としてニールセン氏は大変だったろう。そんな中、ニールセン氏は毎朝夕、その手段を持たない日本チームのために、会場ホテル間の犬オリの輸送をしていただいた。誠に頭が下がる。
犬の輸送費 キロ当たり5、600円。今回の、デンマークまでの片道の犬の運賃である。但しこれは、手荷物扱いの場合で、これが貨物扱いならキロ当たり2,300円ですむ。今回、北海道は総勢4頭で150キロ、手荷物なら往復150万円以上がかかることになる。貨物なら50万円弱ですんだはずである。これに更に成田札幌の往復運賃が加わる。補助は受けても今回のように手荷物で扱われてしまうと大きな負担の持ち出しとなる、ご一考いただきたい。
最後に 素晴らしい犬、各国のトレーニング、ハンドリングスタイル、そして国は違っても心を同じくする人との出会い、、、得たものは大きく限りがない。昨年に引き続き今回の派遣も、日本のアジリティーにとって非常に大きなプラスをもたらすだろう。この派遣を企画し実行したJKCに、深く感謝する。そして、トラブルに見舞われながらも犬人ともベストコンディションで競技に臨むことが出来たのは、ひとえに同行された木村、新田のアジリティー委員、穏やかな人柄の菅原氏、そしてアマチュアながらミニクラスに参加された東ご夫婦と織田さん、応援の大阪山口夫人、そしてチームのキャプテンとして的確な指示を出し続けた京都の月城アジリティー委員長、この皆様方の暖かく惜しみ無い手助けによるものである。心から感謝する。そして、トラブルの処理や様々な手配に奔走した淡島、川村のJKCの両担当者にも深く感謝する。
