注文していたあたらいいディスプレーが到着。
DELLの49インチ湾曲ディスプレー。
思ったほど大きくありませんした。
今まで使ってたのが、DELLのUP3214Q、32インチ4K(3960x2160)ディスプレー。
こんどのは49インチ5Kですが(5120x1440)
表示面積はちいさいかもしれません。
これから動画を整理して、暇があったら、トレーニングの動画をユーチューブで発信していきたいと思ってます。
皆さん、チャンネル(ujinworld)登録よろしくお願いします。
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ブッチャ VS トシ君
テス
目の前に座られて、じっと見つめられて、尾を振られると、 たいていの人はアイちゃんを撫でる。 それにひきかえ、自分からテスの傍に寄ろうとする人はまずいない。
テスは13才の老セントバーナード、育てかたが悪かったのか、足が大きく湾曲している。目は見えているのかいないのか、こちらからみえるのは、ほとんどひっくり返った赤い下まぶただけである、そのせいかテスに表情はほとんど無い。いつもよだれをたらし、顔を下に下げて上目使いに世の中を見ている。耳もほとんど聞こえないようだ、音に反応しない。こちらの表情によって目の輝きが変わるアイちゃんとは対象的に、テスからこちらに対する反応を読み取る事は非常に難しい。それが理性の限界を感じさせるのか、人はテスを避ける。傲慢ではないが、人に無頓着である、若い頃は狂暴でもあった。あの犬だけは触りたくない、前に居た訓練士の卵はそう言った。
「最近腰が悪くなって、ほとんど立って歩けないんです。」
そう言って、飼い主はテスを置いていった。足が曲がっているので以前から歩くのは不自由だった、年老いて更に悪くなったのか。散歩に出してみると、行く時は割合歩くが帰りはすぐへたり込んでしまう。どうやら腰は兎も角、頭の回路は正常のようだ。
しかし、へたり込むと始末が悪い、引きずるわけにもいかず、といって起き上がるまで待っていたのでは仕事に響く、困った。
シェパードの小犬が3匹いて、いつも少しの間だけ犬舎からだして、自由にしてやる、テスも一緒に出す。小犬は無邪気である、恐れることなくテスに近づき、じゃれ、走りまわる。テスも小犬が気に入ったようで、噛んだりしないでその後を追いかける、思うように追い付けないが、散歩替りに丁度良い。毎日これでいこうと思ったが、どうやらテスの気持ちとは裏腹に、その大きな足はたまに小犬を踏んづける。
テスの散歩は行く時だけ付き合う事にした。行けるところまで連れて行って、テスを放して私は先に帰る。テスは匂いを嗅いだり、お疾呼をしたり、好きな事をしながら気ままに帰ってくる。帰ってくると、小犬の犬舎の回りをうろうろしたり、金網越しに出来るだけ小犬にくっついて寝たりしている。
テスは今寝ている。寝ると醜い目が閉じられるのであどけない顔になる。この顔なら誰かに撫でてもらえそうだ。
U人
ちび公
世界が白くなって、目を閉じていてもテントの中では、朝が来たのがわかります。ファスナーを開けると、その気配でちび公が顔を見せました。
いい天気です。顔と川が同じ高さにあって、虫がかげろうのように、朝のハッチをしているのが良く見えます。ここは、道までどんなに頑張っても半日はかかる渓の奥です。すべてのしがらみから解かれて、もう少しまどろみます。昨夜、渓流の水で割ってオールドパーを飲んだカップでコーヒーを飲みます。
ここまで来た犬は、きっとちび公だけでしょう。人でさえ滅多に訪れません。初めて、ちび公を連れてきたときは、少し時期が早く残っていた雪代に悩まされました。雪代は手を入れてさえ、冷たい!と感じます、入れ続けることなどとても出来ません。深いところはヘソまで、足首から下は常時つかっりぱなしの徒渉で足の感覚は無くなります。始め、喜んでいたちび公ですが、途中から震えだし、尾も下がってしまいました。
徒渉の苦手なちび公は、高巻き、へずり、やぶ漕ぎを駆使してついてきます。しかし、それも出来ず、強い流れにどうする事も出来ないでいるときは助けてやります。川の左側を、徒渉しているときに、右手の崖の上から転がってきたものがありました。ちび公です。ちび公が、たか巻きで落ちたのは、この時きりです。帰り、ポイントポイントで、止まって釣る私に付き合ってちび公は、立ったまま寝ていました。ちび公が立ったまま寝ていたのは、この時きりです。
夜、火を起こして、焼肉のカンズメを魚に、ホットウィスキーをやります。よもぎをいぶし、防虫ネットをかぶっています。それでも、暖かいウィスキーが入ったカップでは、ブヨが泳いでいます。ちび公には、蕗の葉を広げたお皿にフードが盛ってあります。でも、普段フードを食べたことがないので、食べようとしません。少しだけ、カンズメの汁をかけてやります。心暖かいU人さんです。冷たい流れは、寝るとき、からだがほてります。私はテントの中で、シェラフと格闘しています。ちび公は、近くのやぶの中で丸くなって、じっと夜露を凌いでいました。
アイちゃんのトップ
深追いしている事には気付いていた。もう引き返さなければならない、もう引き返すべきである。次のポイントで魚が出なかった帰ろう、次のカーブを越えて様子を見て帰ろう等とおもいながらも足は止まらない。 ここはトップ最上流、いわゆるトップの滝の非常に近いところまで来ている。この滝までくる人は滅多にいない、まして犬は(ちび公は来ている)。ここまで来たらアイちゃんを滝まで連れていってやりたい。
川幅が狭くなり、川の両端が立ってきて滝に着いた。
通らずの奥にでかい石が一つある、高巻いてアイちゃんを石に乗せ記念撮影。戻って見てみると石が赤い。アイちゃんの身体の下に血の水たまりが出来ている。調べると爪から出血している、前1本後ろ1本。
テントとシェラフ、着替えに食料それにEPI、電灯とかをつめた重いザックを背負い、歩きはじめたのが朝の7時だった。8時に手頃な場所があったので、そこを今日のキャンプサイトに決めザックを隠す。以後11時半に昼食をとった以外は休まずに来た。今、午後2時半、キャンプサイトまで3時間かかって5時半にはつける、6時半に暗くなる、薪の準備やテントを立てるにはぎりぎりである。竿をしまい、休息もそこそこに帰路につく。
アイちゃんが遅れだす。遅れが10メートルになり20メートルになる、30メーターほど遅れたところでアイちゃんを待つ。それを繰り返す。キャンプサイトに着く予定時間を6時に修正する。アイちゃんがうずくまって動かなくなる。みると全部の爪から出血している、足の裏もふやけ腫れている。激励して歩きだす。ついて来ない、叱咤して呼びつけてようやく歩きだす。足をかばい痛みをこらえて、急速に体力を消耗しているようだ。うずくまる回数が多くなる、叱咤激励。5時半、とうとう力尽きる、脈が弱く早い、危ない状態。キャンプサイトはまだまだ先、アイちゃんをここに残してザックを取りに行っても戻る時には暗くなる。連れて行くしかない、少し休ませてアイちゃんを背負う。
ぐったりしたアイちゃんの頭がぶらぶらして背中にあたる。大丈夫か、おろして様子を見る、変わり無い。6時半には暗くなってしまう、暗くなると更に難しくなる、その前に着かなければ。 ゆっくりしてられない、もう一頑張り。 見覚えのあるポイントが現れる、夕まずめ用にと残しておいたポイントだ、ここまでくればもう一息、頑張れアイちゃん。
6時半、どうにか真っ暗になる前にたどり着く。脈を見る、弱く早いが、前より良くなっている。時折強い風が吹く、身体が冷えるのでテントを立て中に入れる、もう目を閉じ寝ている。
薄暗がりでしゃにむに薪を集めておく。EPIでお湯を沸かし、一握りフードをふやかす。食べればしめたものである、食べなかったら大変。酒の肴の缶詰の肉を一切れしゃぶってアイちゃんにやる。弱々しいながらも、口にする。フードの中にも一切れ混ぜておく。
残ったお湯でウィスキーを割り、飲みながら火を起こしにかかる。火を起こすには断然、樺の皮である、圧倒的な火力。時折吹く強い風もあって、あっという間に火は起きる、一安心。アイちゃんにフードをやる、どうにかたいらげる。
焚き火を囲んだり、焚き火に背を向けたりして、ウィスキーを飲む。明日までにアイちゃんは回復するだろうか、ザックに入れて運ぶか、もう一泊するか。星は見えない、雲の動きは早い、天気予報は明日後半から雨。
朝6時、テントから出て横に蕗が生えている砂地でウ×コをする。蕗でお尻を拭き、ウ×コに砂をかける。犬でさえ用をたした後には砂をかける。テントに戻ってぼんやりコーヒーを飲んでいると、ほどなく3人組みが現れる。砂かけといて良かった。3人のうち一人はうら若き女性、可憐な感じの美女。 下界では極ありふれてても、ビールと美女は山ではお目にかかれない。くそ重い目をして、ほとんど水の塊のようなビールを山に持ってくる奴はいない。ここはトップ、車止めから1時間ほど登ったあたり、昨日からいる。横では疲れきったアイちゃんがまだ寝ている。
昨日、このキャンプサイトの横から竿を出した。ポイントに残っている足跡から見て先ず出てこないだろうと思ったが、いきなり20オーバーのゴマ塩の虹が出てドラグを鳴かせる。この近辺は夕まずめにとっておいて、上に向かう。
2週間ほど前の大雨の跡がひどい。何年か前にもひどい土石流がでて、ポイントが埋もれてしまったが今回もそれに匹敵する。流れが最短距離を走ったのが良くわかる。行く手を遮る草木をなぎ倒し、一抱えもある大木を引き抜き、壁をえぐり、その遮っていたものすべてを運んだ。川の流れが変わり、あちこちに流された生木が横たわり、固有の匂いがまだ香しい。えぐれて新しいポイントも出来ている、そこで出るがフライの直前で嫌われる、すれている、ポイントにまだ新しい足跡が残っている。
中間の大淵も、その手前の魚の良くつくポイントも埋まっていた。しかし、コケのついた石も見られるようになり、下流ほどダメージはひどくない。足跡が消え、次のポイントで30オーバーを出す。フライは新作CDCマドラー(マドラミノーのウイングだけCDCに替えたもの)魚を追いかけるアイちゃんを引き止める。
魚の出がおかしい、いつもならバシャッと出たり、全身を見せてジャンプして落ちる時に咥えたりして派手なのだが、今回は一応口を付けてみるといった程度の優しい咥えかた。水面の虫を捕食してないのか。続けて2回合わせ切れ、合わせが強すぎる、1匹はでかい、ばらした後水面が大きく盛り上がった。次は合わせを加減して40を出す。その後30を1匹ばらして1匹上げる。ポイントには必ず魚がついている、はずなのだがそうでもない、ついていたり居なかったり、むらがある。これもおかしい、これも大雨のせいか。
もう一つおかしいのは、岩魚が全く姿を見せない事。本来ならここは既に岩魚だけの生息圏のはずだが、小さいのも大きいのも全く姿を見せない。そうこうしているうちに、少し深追いしている事に気がつく。
次の日の朝、アイちゃんと私の右足とを騙しだましゆっくりと車まで帰った。私の右足は膝が少し痛かったので、それをかばって歩くうち足首まで痛くなってきていた。アイちゃんは流れに踏ん張るのが一番堪えるようなので、川は抱いてやった。
帰ってきて正解だったようだ。今、朝風呂に入ってビール片手に眺める外はすごい雨、向こうでこの雨にあったら身動きできなくなっていただろう。背中と腰が痛い、これはアイちゃんの重み。こういうことがあると、いつも何気なく連れ歩いているチビ公のすごさがわかる。チビ公は荷物になったことがない。チビ公はアイちゃんの半分ほどしかない、川は渡ると言うより流される。チビ公はその流される分をちゃんと計算していて上流から川に入る。計算があわない時は高巻きをする、へずりもするし、やぶ漕ぎもうまい。チビ公は私の動きに関係なく自分の歩きやすいルートをとる。馬鹿正直に私の後をトレースするアイちゃんとは対象的だ。
なんでもかんでも人に依存するアイちゃん。小さい頃から、ご主人様(私の事)が何の頼りにもならないと育てられたチビ公。どんなに鳴こうとどんなにわめこうと、ご主人様はそれを全く無視して先に行ってしまう。頼れるのは自分だけ、自分の力だけとチビ公は育てられた。
疲れきったアイちゃんは、いつものように呼び掛けに、にこにこ答えない、黙ってこちらを見返すだけ、その目の中にチビ公と同じ光を見た。