Tag Archives: AWC

2007AWC

ビデオカメラを入れたスーツケースが行方不明になり、一時は危機的状況にあった撮影ですが、何とか無事撮影することが出来ました。ビデオカメラが無かった国別トレーニングもハイビジョン撮影の出来るデジカメで要所は撮影できました。

07fci1

画像は、サブカメラでコース検分を撮影している私。左のカメラがメインのFX1、データは机のノートに直接録画しました。おかげで編集がとてもスムースに行き、記録的な早さでDVDが完成しました。
ま、岐アジの練習会までに間に合わそうと、時差ボケを利用して、不規則な睡眠で作り上げました。編集:ハンドラーの名前入れやカット、チーム戦のための国旗のイラストを入れるのに実時間。編集した素材をレンダリングするのに、実時間の2~3倍。レンダリングしたデータをDVDレコーダーにダビングするのにに実時間。DVDレコーダーで、ハイビジョンのビデオからマスターDVDを作るのに実時間。そしてマスターのDVDからコピーを作ります。以上の作業に、PCを3台使いました。

そのうち1台は、先日クワッドコアのCPUと最新のマザーを買ってきて組み立てた物です。このPCとEDIUSで、ようやくハイビジョンでの編集が実用的に出来るようになりました。他の2台は、XENONのデュアルとソニーのバイオ。バイオにはプレミアが入れてあるのですが、レンダリングには実時間の3~5倍ほどかかりました。そのバイオから、レコーダーに直接データを送ると、何故かノイズが入ります。仕方ないので、一度XENONにデータを送って、XENONからレコーダーにダビングしました。

今回はDVDを作るのにハイビジョンの映像を元にしています。今までのDVからのDVDと比べて、飛躍的にきれいな映像になっています。現在、ブルーレイのレコーダーを注文中です。それが来れば、ブルーレイディスクで世界戦を配布できます。大画面テレビをお持ちの方は、是非ブルーレイディスクでご覧下さい。次はテクニカルインプレッション。これも早めに作るつもりです。

2005AWC

2005年世界大会

日本快進撃
競技初日、個人戦;スモール:ノーミス、ノーミス、1ミス。ミディアム:ノーミス、ノーミス、ノーミス。ラージ:1ミス、ノーミス、ノーミス。標準タイムには少し引っかかったが、日本チームは失格0。サーキットペナルティーも二つだけだった。

二日目チーム戦決勝。ラージが5位。ミディアムが2位。スモールは11位。ミディアムの成績が光るが、ラージ、スモールも表彰台に肉薄している。ラージはミス3だったが、そのミスが一つでも少なかったら3位。スモールに至っては、失格がなければ優勝争いに加わっていた。失格は、PR間際の僅かなミスから生まれた微妙なものだった。

三日目個人戦決勝。スモール18位、32位、38位。ミディアム5位、8位、26位。ラージは残念ながら全犬失格。

全般、もちろん過去最高の成績。ラージの個人戦を除いては失格が圧倒的に少ない。惜しかったのは、三日目の個人ミディアムの内藤さん、普通の状態のステラで走らせてあげたかった。今回の日本チームは大変ムードが良かった。世界戦は、いかにリラックスして走れるかにかかっている。その環境を作り上げたチームが表彰台に残る。今年の日本チームはそれが出来ていた。テクニカル面にこだわらず、メンタル面に的を絞って取り組めたことは、今までの経験が生きたと言える。

表彰台

1996年、スイス大会に日本は本部競技会の成績の良かった4頭の犬を参加させた。当時、ヨーロッパ選手権として開催されていたアジリティーの大会は、この日本参加を機に世界大会と名称を変える。以来10年、日本のアジリティーは紆余曲折を経て、念願の表彰台に立った。先ずは、その日本チームの快挙に拍手を送りたい。

苦節10年、ようやくの表彰台だが、機が熟しての表彰台のような気がする。世界大会で問われるのは個人の技量ではない。その国のアジリティーである。代表選考のシステム,サポーターの協力、そして何よりそれらを支えるアジラーの層の厚さが必要である。

今回大会最後の日には、バレーでお馴染みの「日本チャチャチャ」の応援が会場中になりひびいた。他の国も自分の国の応援に[日本チャチャチャ]を使ったほどだ。地道なサポーターの努力の結果である。このようなサポートにはじまる、日本のアジリティーの環境が整って、得るべくして得た表彰台だと私は思う。同時に、それが整う前に、弾みで表彰台に立たなかったことが日本のアジリティーには幸運だったと私は思う。

概要

では、今年の世界大会の概要から。

フランスが消えた。かつて常勝、圧倒的な強さを見せたフランスが今年は表彰に近寄れなかった。フランスアジリティーの崩壊である。皮肉なことにその最大の元凶は、栄光の時代を築いたクリスチンのような気が私はする。公式トレーニング、フランスのトレーニングは雑で荒かった。タッチを踏めなかった。自らにチャンピオンをもたらしたコンタクトの走りぬけが、今年はチームに悲惨な結果をもたらした。最近のコースは、走りぬけるよりも確実に止めたほうが後の処理が有利になるように配慮されている場合が多い。

クリステレ(フランス)

二人のシルビア

そのフランスとは対照的に、高い完成度を見せたのがドイツのトレーニングである。群を抜いていた。そのドイツのハンドリングの背景にはシルビアの存在がある。

シルビア
彼女のハンドリングがドイツを変え、支えているような気がする。特別なハンドリングをするわけではない。一つ一つのシーケンスや局面に対して、理にかなった合理的なハンドリングを冷静に実行しているだけだ。アジリティーを知り抜いている。シルビアは、スロベニアのシルビアとともに、それぞれのカテゴリーを圧倒的な強さで制した。ドイツはラージ総合2位にも入り、ラップこそイギリスのグレッグにとられたが、難コースの個人ラージのAGのコースで2,3,5位に入っている。ドイツアジリティーの勝利だろう。

結果

個人戦 1位2位3位(4位)

スモール:ロシア、スイス、スイス(オランダ)

ミディアム:スロベニア、ベルギー、ベルギー、(スロベニア1.89)、日本2.78

ラージ:ドイツ、ドイツ、イギリス(オーストリア)

スモール、ロシアのアンジェリナ、ミディアム、スロベニアのシルビア、そしてラージ、ドイツのシルビアとジャンピングのトップがそのまま逃げ切って個人戦を制す。ミディアムは、洞口さんが5席、内藤さんが8席に入る。ミディアムは個人戦も完全に表彰台の圏内にいる。ラージは上記した通り。

チーム戦

スモール:スイス1ミス、ロシア、スペイン(フィンランド)

ミディアム:フィンランド3.66,日本5.82、スペイン8.36、ラトビア

ラージ:南アフリカ5、イタリア5.58、ロシア13.04(ノルウェー16.44)、日本17.05

スモールはマーチン、コルネリアのスイスの両名が個人戦での実力どおりの力を発揮して優勝。日本は、タイム減点は少しとられているものの失格以外はノーミス。優勝したスイスが1ミスだったことを考えると、ほぼ互角と言って良いだろう。ミディアムは、結果的にタイムの争いになった。チームミディアムの決勝ジャンピングのコースで失格したのは僅かに3頭。ジャンピングのコースは、イージーだった。それがこのような結果を生んだのだろう。ラージは南アが連勝した。上位3カ国は、昨年と同じ国である。

競技別の成績

では、例によって記録に現れないここの競技別の成績。

1チームAG、スモール:イタリアのアンドレア、ジャックラッセルテリアでトップ。2位はベルギーのパトリック(シェルティー)、3位はカナダのシーナ。4位はお馴染みスペインのアントニオさん、5位はフィンランドのウルフのコーギことスウェーデッシュバルフント。

ミディアム:チェコのラドバンがトップ。2位はイギリスのバーナデット禅(ZEN犬の名)。3位には内藤さんのステラが入っている。日本選手がはじめてベスト3に登場した。4はラトビアのシェルティー。5位はチェコのオルガ。

ラージ:トップはオーストリアの銀河、ハンドラーはミハエル・ブランドステッター。彼はチームの個人戦も制しているし、個人戦も総合で4位に入って来ている。今年の隠れトップ、注目すべきハンドラー。

ミハエル(オーストリー)
2位にはクロアチアのアレン(クロアチアシェパード)。3位もオーストリーのソーニャ。4位はドイツの刈上げの兄ちゃんフィリップ。5位は、アメリカのカウボーイことゲリー・ブラウン。

ゲリー・ブラウン、隣はマルコ(スイス)

2チームJP、スモール:ロシアの前チャンピオン、スベトラーナ・ツマノバ。これはハンドリングの勝利。2位はチェコのラドバン・リスカ、彼はスモールとミディアムをハンドリングしている。3位はイギリスのデービッド、ラージのデービットとは別人。4位スペイン。5位はチームAG3席のシーナ。

ミディアム:トップはフランスのピレネーシェパード。2位はベルギーのプードル。3位はチームAGで2位に入ったイギリスのシェルティー禅(ZEN)。4位はスウェーデンのプーミー。5位はチェコのシェルティー。

ラージ:1位は前記の通り。2位はイギリスのブルーマールのボーダー、ハンドラーはトニ(女性)。3位はクロアチアのアレン。アレンはAGも2位で、これが個人戦だったならチャンピオンだ。4位はご存知フィンランドのミコ。5位に健三さんが顔を出してくる。
アレンとサラ(クロアチア)

個人JP、スモール:トップは前記の通り、2位オランダのナターシャ。3位はドイツの

ジャックラッセル、ハンドラーはリンダーマン。4位5位は、スイスのマーチンとコルネリア。

ミディアム:トップは前記のシルビア。2位にチェコのラドバン。3位にスウェーデンのプーミー。4位、ベルギーのプードル。3位4位はチームのジャンピングでも上位に入っている。5位はラトビアのシェルティー(チームAG4位)。7位に内藤さんのステラが入っている。成績的には、これに注目が集まるだろうが、内藤さんはチームAG3位が光る。

ラージ:ドイツ勢が1位2位。3位にイギリスのデービット。これがそのまま個人戦の結果となる。4位はアメリカのリンダ。5位にスペインの若手の星ヨルディが来る。

個人AG、スモール:1位スイスのマーチン。2位ロシアのエレーナ。3位にチャンピオンになったアンジェリナ。4位シーナ。5位はスイスのアレクサンドラ(シェルティー)。

ミディアム:シルビアがトップ。彼女は完全優勝。2位にカナダのシェルティー、ニトロ。3位はアメリカのジーン(シェルティー)。4位ベルギーのプードル。5位オランダのシャロン(シェルティー)。6位に洞口さんが絡んでくる。

ラージ:グレッグがトップ。彼は最後の最後にようやく一矢報いることが出来た。それほどひどい走りだった。らしからぬミスが続出し、声をかけるのも気の毒なほどだった。公式トレーニングを見たとき、イギリスは彼を中心に回っているようだった。その彼が個人ラージのジャンピングでいきなりこけた。それが響いたのだろう。この最後の競技個人ラージ決勝の走りは、絶対確実という走りだった。にもかかわらず、ラップを取ったのだからたいしたものだ。2位にドイツのフィリップ。総合2位のドイツ人とは別人、刈上げのフィリップ。大喜びだった。

フィリップ(ドイツ)

3位にシルビア。4位にチェコのパワーあふれるマリノア。5位に総合2位に入ったドイツのフローリアンと続く。以下、総合3位のデービット(イギリス)。フランス、フレデリック。銀河のミハエラ。ニコラ・ギャレット(イギリス)とつづく。

コース傾向

PR失格
スモールチームAG73%17%
チームJP34%15%
個人AG23%23%
個人JP6%29%
ミディアムチームAG48%26%
チームJP48%5%
個人AG12%24%
個人JP10%23%
 
ラージチームAG52%12%
チームJP37%18%
個人AG32%42%
個人JP31%15%

個人ラージAGの失格の多さ、チームミディアムJPの失格の少なさが顕著。

PRはスモールとミディアムの個人JPが低い、これは標準タイムの設定によるもの。標準タイムは4.5m/sでセットされていた。ミディアムの個人AGもタイムに引っかかったのが多かった。アジリティーのコースで、4.6m/sで回っても標準タイムをクリア出来ないのだから無理なかろう。ジャッジはいずれもJOSEPさん。チーム戦は概してPRが高い。これはチーム戦を考慮したためだろうか。

ポルトガルのレスラーことドミンゴ、彼のボーダーはなかなか良い

停滞?

年々進化し続けてきた世界のアジリティーが、後退したような印象を受けたのは私だけだろうか。あるいは、日本のレベルが上がったのだろうか。世界大会のコースが、今年は簡単だった。レベル1かと思うようなシーケンスを含んでいるものまであった。競技であるから、それなりの難しさはあるだろうが、コースとしての面白みには欠けていた。何回もトライしたいと思うようなコースは少なかった。その中で最後の競技となった個人アジリティーのラージのコースは、ベルントさん会心の作だと私は感じた。日本へ帰ったら是非組み立ててトライしてみたい。

意欲に欠けて走らない犬が何頭かいた。これまでに無い事だ。運動能力に欠けるハンドラーも目立った。その人達が激戦を制して代表になったのなら拍手を送りたい。しかし、そのレベルの選手しか代表に出来なかったとしたら、レベルの低下である。スペインはヨーロッパにとってはやや外れている。そのせいだろうか。

課題

日本は、表彰台の常連になるだろう。それは間違いない。日本の、チーム戦に絞った選考システムは、世界大会にマッチしてきた。同時に成績不振の最大の課題に対して、ようやく回答を見つけた。しかし、課題は残った。今年のコースは、大会最後の個人ラージのコース以外は、これまでの世界大会の傾向から見てイージーだった。その唯一難しかったコースで日本は三つとも失格してしまった。これは課題だろう。そして、良い課題を得たと私は思う。今回の日本チームの成績は、その土台に日本の国内戦がある。チームとしてのまとまり、選考システムももちろん重要であるが、土台になっているのは国内戦である。その国内戦に向けて良い課題が出来たといえるだろう。スペインはとても美味しかった。成績も良く、行って良かった。来年はスイス、美しい国である。スイスは、もう少し時間に余裕を持って行ってみたい。
来年の世界大会ジャッジ キンドルさん

1997年世界大会

水曜日 夕方、我々は冷たい雨の降るコペンハーゲンの空港におり立った。手配してあるはずの車が無く、すったもんだのあげくようやくの思いでホテルに着いたのは、それから2時間以上も後の事だった。日本より日の暮れるのが遅く、それでも僅かに明るさの残る黄昏の中、犬を排便に出すことが出来た。風が強く、断続的に雨が降る。

木曜日 デンマーク1日目の朝、非常に強い風が、低く広く拡がった空間を吹き荒れる。その中を散歩がてら競技会場に行ってみる。会場のブロンディスタジアムは、ホテルの向かい側、といってもサッカーコートを何面も有するほど広大で、その一施設に過ぎないホールまでは歩いて10分程かかる。ホールの入り口に貼ってあるアジリティー競技の赤いポスターが印象的だ。終了時に一枚失敬するつもりでいたが、あわただしさの中で忘れてしまった。散歩を終えて帰る。ホテルの横のサッカーコートの脇に主催者側の配慮で一組のアジリティーのセットが置かれている。風が強くハードルはすぐ倒れてしまう。タッチ障害の基礎トレーニングとスラロームの練習だけをしておく。

 朝食後、人影に気がついて行ってみるとアメリカチームがトレーニングをしていた。日本にはお馴染みのシモンズモークの姿を見かけて声をかける。トレーニングは良く統一されていて、風で倒れかかるハードルを交代で押さえながら、コーチの指示のもとてきぱきと効率よく行われていた。トレーニングはスピードよりもコントロールを重視したもので、トンネルの入り口をAランプのすぐ横に並べて、どちらに行かすかをハンドリングによってコントロールしたり、コマンドにより反対側からシーソーやスラロームに入れたり、しつこいほどのタッチ障害の練習など、総じて丁重で念入りなトレーニングであった。エサの多用も印象的だった。アメリカチームの後、日本チームがトレーニングを行う。長旅の疲れを考慮し、はやる心を抑えて軽く流す程度の練習にとどめる。

午後、JKCのはからいで市内観光。夕方、会場でニールセン氏と落ち合う。日本から到着したばかりの木村、新田のアジリティー委員とマスターフーズの島津さんも同行する。会場のフィールドは30m×60m程の広さで、その回りを観客席が取り囲む。昨年の会場は下に土が敷かれていたが、今年は絨毯が敷かれることになっている。その絨毯が脇に用意されていて、滑ることから絨毯はとかく問題にされがちなので興味を持って調べた。裏にスポンジのようなクッションが薄く貼ってあり、犬はともかく人は全く滑らなかった。明日はその絨毯に慣らすため、競技会場で国別のトレーニングが予定されている。

金曜日 そのトレーニングを私は最初から最後まで見ていた。使用できる障害はスラローム一組とハードル6~7個だけで、すでに会場に用意されている。それぞれの国で、それを好きなように配置して練習していた。絨毯に慣れさせるという名目で設けられた特別トレーニングであり、日本チームもそこにウェイトをおいたが、他のほとんどの国は全くそれにとらわれず、いつも通りのハンドリング主体の練習をしていた。また、コーチの統制が非常に良くとれていてハンドリングスタイルが統一されており、30分という枠の中でコーチの指示のもとスピーディーで効率的なトレーニングをしていたのも印象的であった。まさに、アジリティーにとって何が重要なのかを充分知り抜いているという感じがした。この国別トレーニングでは、クロアチアやイタリアのスピードが目を引いた。しかし、実際の競技では彼らの成績はふるわず、コントロール主体の練習をしていたスイスやデンマークなどが高成績をあげることになる。

土曜日 競技初日。オープニングセレモニーの喧噪がまださめやらぬ会場で、競技は始まった。競技は個人のアジリティーから始まり団体ジャンピング、明日の団体アジリティー、個人ジャンピングと続く。各競技ともスタンダードの後、ミニクラスが行われる。個人アジリティーはデンマークの審査員が担当し、比較的オーソドックスなレイアウトのコースだった。極端に難しい個所はなく、失格の出にくいコースのようであったが、日本のスタンダード参加者5名の内、3名までが失格となる。しかも全て同じ個所での失敗で、この失敗が後々尾を引くことになる。このクラスの圧巻は何といっても、昨年のジャッジのマルコ・モーエンだろう。どんなハンドリングをするか世界中が注目する中、抜群のスピードと極めて安定したハンドリングでベストタイムをマークした。まさに見事であった。

団体ジャンピングは、日本は16番目のスタートで午後になった。団体は1チームが4名で構成され、上位3名の成績が考慮される。昨年の成績を分析すると、タイムよりも減点を減らすこと、特に失格を無くすことがポイントになるようだ。日本チームの結果は、柳生ブルがタイム狙いで途中失格も、後の3名が完走してチームとして一桁台のペナルティーを確保し、初日は22チーム中16位となる。ジャッジは個人アジリティーと同じくデンマークのジャッジであった。若干変則的な個所があるものの、各障害に非常に微妙な角度が持たせてあって、遠隔でのハンドリングがやりにくい設計となっていた。

日曜日 今日で終わりである。今までの全てのトレーニング、準備、期待、応援が今日の結果如何にかかってくる。スペインのジャッジが担当する団体アジリティーから競技は始まった。スピードと危険性が隣接したコースで、一瞬のコンタクトの断絶がコースミスを呼びそうだ。タイムを狙う危険性は極めて大きく、全員がノーミスを目標とする。結果、無難に終了して、初日の16位から14位に順位を上げる。個人ジャンピングは、大変スリリングなコースが設計されていた。一瞬のハンドリングミスはコースミスに直結し即失格である。最後まで気を抜くことは許されない。結果、日本勢は5走して2名失格。これですべて終了した。

月曜日 10時から研修会が行われた。デンマークナショナルチームのアネッテという女性がコーチである。コースを走らせてハンドリングの問題点を指摘し、的確に矯正方法をアドバイスしていた。だいたいは分かるのだが、微妙な部分になると言葉の違いから理解するのが難し事もあった。しかし、各々のハンドラーにとってそれなりの収穫はあったはずである。ランチを一緒してもらい更に詳しく話を聞いた。2時間の予定を大幅に過ぎた3時に別れた。

成績 今回の日本チームの成績はどう評価すべきであろうか。普通、実力以上の成績なら良くやったと言われるだろうし、実力を出せなかったらもう一つと言われるだろう。そういう言い方をするなら、今年はもう一つだったと私は言いたい。そう言い切れるほど日本チームの実力はついてきていると私は確信している。

エリック・ニールセン氏 競技の準備や片づけ、数々の手配、審査員との打ち合わせ、VIPの接待、主催の中心的存在としてニールセン氏は大変だったろう。そんな中、ニールセン氏は毎朝夕、その手段を持たない日本チームのために、会場ホテル間の犬オリの輸送をしていただいた。誠に頭が下がる。

犬の輸送費 キロ当たり5、600円。今回の、デンマークまでの片道の犬の運賃である。但しこれは、手荷物扱いの場合で、これが貨物扱いならキロ当たり2,300円ですむ。今回、北海道は総勢4頭で150キロ、手荷物なら往復150万円以上がかかることになる。貨物なら50万円弱ですんだはずである。これに更に成田札幌の往復運賃が加わる。補助は受けても今回のように手荷物で扱われてしまうと大きな負担の持ち出しとなる、ご一考いただきたい。

最後に 素晴らしい犬、各国のトレーニング、ハンドリングスタイル、そして国は違っても心を同じくする人との出会い、、、得たものは大きく限りがない。昨年に引き続き今回の派遣も、日本のアジリティーにとって非常に大きなプラスをもたらすだろう。この派遣を企画し実行したJKCに、深く感謝する。そして、トラブルに見舞われながらも犬人ともベストコンディションで競技に臨むことが出来たのは、ひとえに同行された木村、新田のアジリティー委員、穏やかな人柄の菅原氏、そしてアマチュアながらミニクラスに参加された東ご夫婦と織田さん、応援の大阪山口夫人、そしてチームのキャプテンとして的確な指示を出し続けた京都の月城アジリティー委員長、この皆様方の暖かく惜しみ無い手助けによるものである。心から感謝する。そして、トラブルの処理や様々な手配に奔走した淡島、川村のJKCの両担当者にも深く感謝する。