9月8日 出動二日目
電気が通じ、電話もかかるようになったが、食料の調達など、未だ不便は多かった。1日目に出動できなかった中谷(犬ピコ)ハンドラーと1日目も出動した小野寺(犬アクセル)ハンドラーが出動。現地で9時に待ち合わせ、私と中谷ハンドラーは合流して私の車で行く。9時予定通り、現地で合流、一緒に現場に向かう。今日は交通の障害などを考慮して、昨日とは反対側の道路を使って現場に向かう。途中の道路は陥没したり、段差が出来ていて通行には注意を要した。
反対側から行った方が、現場への接近は容易だった。適当と思われることに車を止め、活動に入る。現場は重機が入り、かなり作業されたようで、前日とは様相が大きく変わっていた。また、全国からの救助犬もかなりの数がいて、使う上でのローテーションが組まれていて、遅れて到着した我々はそのローテーションに入ることが出来なかった。前日と同じ手順で済むと判断したが、災害対策本部に顔を出して状況を聞いておくべきだった。
最初に入った現場は、昨日一番長く滞在した3か所目の現場、この現場の様相が最も大きく変わっていた。現場は地震によって引き起こされた山崩れにより、山裾にあった民家が、山肌にあった森林諸共押し流された状況で、その森林の木が生えたまま,元あった民家の跡を覆い隠していました。昨日は、その流された民家の近辺を探したのですが、結果的に見つかったのは、もともと家が建っていた当たりでした。
救助作業は、伐採用の重機で生い茂る木を切り倒したり、よけたりして場所を確保して、掘削する重機が作業できるようにします。掘削する重機が作業して、生活用品が出てくるなどしたら、救助犬を投入します。その反応を見て、手作業で丁寧に掘っていきます。
救助作業はその繰り返しで、徐々に範囲を広げていきます。これが今回の災害現場で確立された救助のノウハウで、救助犬は、遭難者の発見というよりも、遭難者の場所の特定に、より多くその能力が求められたようです。
私は所用があったので、救助活動のローテーションに加わることが出来ないことが判明した時点で現場を離れました。中谷と小野寺は、3時過ぎまで現場にとどまり、各救助犬チームの活動の様子をつぶさに観察できたそうです。